2013/09/13

Galileo Galilei/サークルゲーム




幼なじみというコミュニティについて歌った、そよ風のような爽やかな曲


「サークルゲーム」が主題歌となったアニメ『あの日みた花の名前を僕たちはまだ知らない』は、男女6人、幼少期からの幼なじみの友情をテーマにした作品で、本作の歌詞もおおむねその内容になぞらえたものになっている。つまり、“サークルゲーム”というのは一義的にはその幼なじみたちの関係の輪の比喩ということになるだろう。だが、幼少期からの幼なじみ、というのは尾崎雄貴・和樹兄弟に小学生の頃からの友人である佐孝仁司を加えて結成されたGalileo Galilei自体にも言えることだ。だから、この“サークルゲーム”は、彼ら自身に掛かっているとも言える。

幼なじみという小さなコミュニティについて歌った本作で、爽やかで線の細いギターのサウンドは、彼らの根ざすであろうナイーヴなコミュニティ観、その友情を連想させる。あるいは、この曲の1・2番でのAメロの展開——歌メロを中心に、複数の楽器が輪唱的に追いかけっこする1番Aメロ、そして16ビートを基調にディレイの利いたギターやシンセがリズミックに絡まって行く2番Aメロ——は音楽的なバリエーションとして、この曲のポップスとしての魅力を広げると同時に、彼らの目線の先にある人間関係における葛藤や昂揚を表現しているようだ(学校、あるいは会社、あるいは街や国と同じように、友人関係にも幾多の幸福とすれ違いがあるものね)。その一方で、アンセムめいた大らかさで歌われるBメロやサビは、小さなコミュニティならではの一体感を表しているのだろう。


もっとも、この曲はそうした小さな友情の輪をむやみやたら賞賛する曲ではない。むしろ、それが崩壊した後に残る何ものかについても思いを巡らそうという曲である。その終焉を感じながら、その未来について祈ること。いつかそのサークルが消えたとしても(その時は必ずやって来る!)、その願いは残るのではないか?という、いささか感傷的過ぎる問いを、そよ風のような穏やかさと可愛らしさで歌い抜ける一曲。

(佐藤 優太)